4月販売開始予定の東レ新薬。猫腎不全治療薬「ラプロス」のデータをわかりやすく解説

ラプロスが今年の4月から販売開始という情報が出ています。あくまで予定ですが、4月であれば本当にもうすぐですね。

ラプロスに関して個人的に調べると、東レが行った実験のデータが出てきたのでご紹介します。一般の飼い主さんにはわかりづらい内容ですので、かみ砕いて簡単に解説使用と思います。(参考:「慢性腎不全の治療薬」)
「ラプロス」に関してはこちらの記事も参考にしてみてください。

7af9350af8e62105246a2272fa6d0381_s.jpg※写真はイメージです
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1. 腎不全の猫への投与データ

試験の対象
慢性腎不全(IRISのCKDステージ2~3)IRISのステージ分類はこちらを参考にしてください
以下の例は除外
・甲状腺機能亢進症
・強いタンパク尿(UPC>2)
・急性腎不全
・慢性腎不全増悪期
・慢性心不全
・糖尿病
・副腎皮質機能亢進症
・尿路感染(膀胱炎など)
・FeLV/FIV/FIP感染症
・悪性腫瘍
・著しい肝機能低下
・妊娠
・明らかな出血傾向

試験の方法

IRISのCKDステージ2~3の11頭の慢性腎不全猫に、1回1錠、1日2回、朝夕の食後にベラプロストナトリウム55㎍(ラプロス1錠)経口投与。180日間継続して、効果を評価。

評価方法

試験2週間前、投与0、30、60、90、120、150、180日目にそれぞれの項目を評価。(かっこ内は投与前→投与180日の数値を表しています)

症状・一般状態:獣医師が0~4段階で評価
 体重:平均260g増加(4.26㎏→4.42㎏)
 活動性・食欲・脱水など評価した一般状態はすべて優位に改善
  (活動性・食欲は投与120日目以降で顕著に改善、脱水は投与30日で改善し維持)

血液検査
腎不全の指標
 BUN:180日で10.5%増加(悪化)
 Cre:180日で11.0%増加(悪化)
 P/Ca:180日でほぼ変化なし
尿毒素の指標
 インドキシル硫酸:180日で微増(2.57→2.65)
 フェノール:大幅な改善(0.03→0.009)
尿検査
 尿比重=尿濃縮能(腎臓の働き)の指標→改善(1.024→1.027)
 UPC(尿たんぱくクレアチニン比)=腎臓の障害の指標→大幅改善(0.136→0.07)
 NAG=尿細管の異常の指標→変動多く不確か(4.38→3.165→6.436→3.933→4.65)
 TFG-β=線維化および炎症(腎臓のダメージや変性)の指標→大幅改善(966.77→668.23)

腎不全の猫へのラプロス投与データの感想

この結果を見る限り、BUN、Creの数値はやや増加するようですが、他の数値で改善がみられる項目も多いようですね。一般状態や体重などの飼い主さんがわかる改善だけでなく、腎臓の機能を見る尿検査数値の改善があるというのもポイントです。

また、プラセボ群(薬に見せかけた錠剤を飲ませた猫)との比較では、BUN、Creの増加もラプロス投与群の方が優位に低く、BUN、Creの数値は増加するものの、増加の程度は食い止められるという結果です。
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2. 副作用に関する報告

上に紹介した55㎍1日2回の投与では副作用の発現はなかったようです。健康な猫に対する安全性の実験も行われているのでご紹介しましょう。

健康な3~6歳の猫(雄雌各4頭)にベラプラストナトリウムをそれぞれ、0、10、30、70、100㎍/kg、7日間1日2回投与するという実験を行った。

0~30㎍/kgの投与群では副作用なし
70㎍/kgの投与群では3/8で下痢、嘔吐、鎮静などの副作用あり
100㎍/kgの投与群では全頭で下痢、嘔吐、鎮静の副作用あり

 (副作用は投与中止が速やかに消失)

血圧はすべて低下傾向
心拍数は30㎍/kg以上の投与で上昇傾向

副作用のポイント
・副作用は健康な猫では、30㎍/kg以下で発生せず
 ラプロスは1錠55㎍なので、2㎏以上の猫であれば安全か?(2㎏の猫だと27.5㎍/kg)
 体重が軽い子では副作用に注意
・血圧低下作用と心拍の増加作用のある可能性
 降圧剤を飲んでいる猫や心不全の猫、あるいは脱水傾向のある猫では注意が必要
・腎不全以外の疾患を持っている猫への安全性は確認されていないため、その他の疾患でも注意が必要


ラプロスのデータまとめ

このデータを見る限り、副作用のリスクは少なく、長期投与で飼い主さんも実感できる効果が期待できるようですね。ぜひ使ってみたい薬だと思います。

ただし、問題は1日2回投与の錠剤という点です。どの程度の大きさで、味はどうなのかというのも気になる点ですね。そもそも毎日1日2回飲ませなければ効果は期待できません。半量投与での実験では、効果が低下することがわかっていますので、1日1回だと効果が落ちる可能性が高いと思います。

4月から販売開始予定ということなので、もうすぐ使えるようになる可能性が高いです。腎不全の猫ちゃんを飼っている飼い主さんは、ぜひかかり付けの動物病院に相談してみてくださいね。

猫の腎臓の働きを知りたい人はこちらの記事へ
犬と猫の腎臓の働きとBUN、Cre、尿比重の意味

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