猫のワクチン接種と腎不全のリスクを考える

久々の投稿になります。
先日、東京で行われた「日本臨床獣医学フォーラム年次大会」に参加してきました。

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日本臨床獣医学フォーラムとは

日本獣医学フォーラム年次大会は、現在日本で行われる獣医学関連の学会の中では最も規模の大きなものになります。同じ時間に10程度の教育講演が行われ、動物病院で行われる動物の治療に関するさまざまなアップデートや最新の治療法を、動物病院で働く獣医師が学びます。
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気になる腎不全とワクチン接種の関係

そこで1つ気になった情報が猫の腎不全に関するお話です。こちらのサイトでも紹介した猫の腎不全治療薬「ラプロス」のによる治療経過のアップデートの講演の中で聞いたお話です。ラプロス自体は現在のところ、大きな副作用もなく、比較的効果が出ているというお話でしたが、そこで「頻回のワクチン接種が腎不全のリスクをあげる」というお話が出ていました。

猫の慢性腎臓病のリスクファクターの研究

さっそく調べてみると、実際に猫のワクチン接種と腎不全リスクを評価した論文があります。
Risk Factors for Development of Chronic Kidney Disease in Cats
英語の論文ですが、英語が読める方は是非読んでみてください。
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論文の要点

この論文によると。猫の慢性腎臓病(以前は慢性腎不全と呼んでいました)のリスクは、頻回(毎年など)のワクチン接種によって増加するということです。この論文の大まかな情報としては

対象動物


・9歳以上で腎臓に問題のない猫を2005年~2009年に観察
・そのうち、検査がしっかりでき、腎臓病以外の病気を発症しなかった148頭について統計学的に検討

結果


・148頭中、27頭(18%)が慢性腎臓病を発症
・腎不全発症リスクを高めるのは、リスクが高い順に重度の歯牙疾患、頻回のワクチン接種、中等度の歯牙疾患

ワクチン接種と腎不全発症の関係

頻回のワクチン接種がもたらす腎不全のリスク
・ハザードレート(腎不全になるリスクの予想倍率):5.68
・95%信頼区間(95%の確立で信頼できる腎不全リスクの倍率):1.83–17.64

この論文のデータでは、高齢動物に頻回にワクチン接種を行うと、腎不全を発症するリスクが5~6倍になる可能性が高く、少なくとも2倍程度にはなるという結果が出ています。

毎年のワクチン接種を完全否定するものではない

この論文は、毎年のワクチン接種が腎不全のリスクを高めるという比較的信頼のできる情報になります。ただし、この論文だけで毎年ワクチンを打つことを否定することはできません。

・ワクチン接種による感染症予防のメリット(伝染病と腎不全の発症どちらがリスクが高いのか)
・日本で流通している猫のワクチンが、腎不全のリスクを高めるかは不明

などという検討が必要なります。

ただし、少なくとも高齢の猫で、1頭のみの飼育で、完全室内飼育(外に全く出ない)である場合には、ワクチン接種のメリットと潜在的な腎不全リスクを考えたうえでワクチン接種を相談していかないといけないと感じております。
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まとめ

猫のワクチンと腎不全の関係、気になりますよね。ただし、それ以上に歯牙疾患(歯周病など)が腎不全の発症リスクを高めることにも注目しておいてください。猫の長生きの点滴、慢性腎臓病のリスクを減らすため、歯周病の治療やワクチン接種の必要性などについてももう一度考え直した方がいいかもしれませんね。
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この記事へのコメント

  • 点滴→天敵
    文脈でわかりますが、ややこしいので^ ^
    2018年06月22日 22:25